大雪ダムは、北海道上川郡上川町層雲峡大学平地先、一級河川・石狩川本川最上流部に建設されたダムである。国土交通省北海道開発局が管理する特定多目的ダムで、日本第三の規模にして北海道最大の大河である石狩川の本流に建設された河川法上のダムとしては唯一の存在である。石狩川の治水及び旭川市などの水がめとして建設された。堤高は86.5mで型式は中央土質遮水壁型ロックフィルダムで、ダム建設によって出現した人造湖は大雪湖と呼ばれ、大雪山国立公園内に位置している。

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地形・地質

「古大雪湖」現在みられる大雪湖は、ダム建設により作られた人造湖で、ダム左岸部から大雪山が聳える事から、ダム湖の名前も「大雪湖」と命名された。大雪湖ができる以前には、現在よりも大きな湖が存在していた。約3万年前に大雪山の中央火口が噴火した際、火砕流により層雲峡側の低所や谷は埋めつくされ、現在の層雲峡より上流域の石狩川は今の大函付近で堰き止められ、この時にできた湖が古大雪湖である。古大雪湖の規模は推定面積65平方㎞、現在の大雪ダム湖3平方㎞の約20倍の広さとされている。その後、古大雪湖は決壊して水位は減少し、湖自体は消失したが以前のように川は流れていた。古大雪湖は、約3万年前から1万1700年前までに存在していた可能性があるが、石狩川上流域では約3万年前以前にも湖が存在していたことが明らかになっている。

「三国層」三国層は、約3万年前に御鉢平から噴出した火砕流により、石狩川が堰き止められた事でできた古大雪湖の堆積物である。古大雪湖の湖成面の堰き止め位置は、標高約910mと推定され、湖成堆積物は標高750~1210mの広い範囲で見られる。三国層堆積後、古大雪湖をせき止めていた層雲峡火砕流堆積物(溶結凝灰岩)を浸食したことで決壊流出したことで再び石狩川が流れ出した。

自然

「動物・植物」大雪湖周辺は標高約800mに位置することから、植生分布上は針広混交林に属している。代表的な樹種は、トドマツ、エゾマツ、アカエゾマツなどの針葉樹にダケカンバ、シラカンバ、カツラ、シナノキ、イタヤカエデなどの広葉樹が混在している。動物はヒグマ、エゾシカ、エゾクロテン、キタキツネ、エゾユキウサギ、オジロワシ、ミサゴ、エゾライチョウ、アメマス、オショロコマなどが生息している。特徴的な動物に世界最小の哺乳類の1つとされ、日本では北海道にのみ分布しているトウキョウトガリネズミが生息している。

歴史・文化

「ペタヌ・二股」大雪湖周辺のアイヌ語地名は、「ペタヌ」二股という意味。本流とそれに匹敵する大きな支流との合流点を二股と言い、アイヌ語では「ペタヌpetanu」あるいは「ぺタウpetaw」と呼ぶ。awは「枝」とか「角」の意味で、ぺタウは本来の「枝川」から転じて「二股」を意味するようになったと考えられる。大雪湖の水底にはかつて、下流から順に①ペンケチャロマップ(右岸)・②ホロカイシカリ(左岸)・③ユニイシカリ(右岸)の三支流が合流していた。『旭川アイヌ語辞典』は本流と①との出合を、松浦武四郎は②との出合をペタヌとしており、点の記「湯仁石狩」は③との出合に「大二又」と記している。川を移動ルートして利用していたアイヌの人たちにとっては、北見・常呂方面や十勝方面から峠を越えて石狩川源流部へアクセスする交通の要衝だった。